大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

水戸地方裁判所 昭和58年(わ)383号 判決

本店の所在地

茨城県那珂湊市阿字ケ浦町三八五番地の一

法人の名称

株式会社マルヒ

代表者の住居

同市阿字ケ浦町三八六番地の一

代表者の氏名

黒澤勇

本籍

茨城県那珂湊市阿字ケ浦町三八三番地

住居

同市阿字ケ浦町三八六番地の一

会社役員

黒澤勇

大正八年一二月一四日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官伊東正出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

1  被告会社株式会社マルヒを罰金一二〇〇万円に、被告人黒澤勇を懲役一〇月に各処する。

2  被告人黒澤勇に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社マルヒは、茨城県那珂湊市阿字ケ浦町三八五番地の一(昭和四五年四月一日から昭和五五年一〇月三一日までは同市磯崎町三八三八番地の一)に本店を置き、甘藷及び甘藷蒸切干の販売、観光事業、並びに不動産売買業等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人黒澤勇は、被告会社の代表取締役(昭和五四年六月二六日以前は取締役)として被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人黒澤勇は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、架空仕入の計上、棚卸の除外、海の家売上げの除外及び不動産売上の除外の方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五四年五月一日から昭和五五年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億〇四二六万四七八五円であったにもかかわらず、昭和五五年六月三〇日、同県常陸太田市金井町三六六二番地所在の所轄の太田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二三二一万五〇六二円で、これに対する法人税額が八七六万八一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四一六四万七七〇〇円と右申告税額との差額三二八七万九六〇〇円を免れ

第二  昭和五六年五月一日から昭和五七年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六一〇三万七六一七円であったにもかかわらず、同五七年六月二九日前記太田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二一七九万一六四三円で、これに対する法人税額が七五八万一五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二四〇六万四八〇〇円との差額一六四八万三三〇〇円免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人黒澤勇の当公判廷における供述

一  被告人黒澤勇の検察官に対する供述調書

一  被告人黒澤勇の大蔵事務官に対する質問てん末書(一三通)

一  被告会社株式会社マルヒに関する登記簿謄本

一  証人黒澤ロイ子の当公判廷における供述

一  黒澤正機(三通)、黒澤弘昌(三通)、黒澤陽治、坂本重雄、小森真六、矢部信夫、大内泰三、安秀則、小野瀬静也及び小野瀬福寿の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  川端昭二作成の証明書(三通)

一  検察事務官作成の捜査報告書(二通)

一  検察官作成の捜査報告書(二通)

一  大蔵事務官作成の観光部売上調査書(検察官請求証拠等関係カード番号6、以下番号のみを示す。)、土地売上高調査書(7)、期首棚卸高調査書(8)、期未棚卸高調査書(9)、甘藷部(干いも)各期末棚卸金額調査書(10)、甘藷部仕入高調査書(11)、役員報酬調査書(12)、給料手当調査書(13)、価格変動準備金繰入調査書(14)、役員賞与損金不算入調査書(15)、価格変動準備金戻入調査書(16)、寄付金の損金不算入額調査書(17)、債券償却益調査書(18)、及び減価償却費調査書(19)

(法令の適用)

第一被告会社株式会社マルヒ

1(1)  判示第一の所為について 法人税法一五九条、一六四条一項(昭年五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律附則五条により、同法による改正前のもの)

(2)  判示第二の所為について 法人税法一五九条、一六四条一項

2  併合罪の処理について 刑法四五条前段、四八条二項

第二被告人黒澤勇

1(1)  判示第一の所為について 法人税法一五九条(昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律附則五条により、同法による改正前のもの)(懲役刑選択)

(2)判示第二の所為について 法人税法一五九条(懲役刑選択)

2  併合罪の処理について 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪に法定の加重)

3  刑の執行猶予について 刑法二五条一項

(裁判官 立原彦昭)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例